PIXARの映画は漏らさず見ている俺ですから
当然、今回の「WALL・E(ウォーリー)」は見てきました。 細部までこだわったCG表現、舞台設定、そして随所に仕込まれる小ネタ。 毎回ながらこれらのクオリティーには感心してしまいます。 田舎の劇場、日曜のレイトショーということもあるでしょうが 正直、ちょっと心配になる入り様でしたが・・・ 肝心の内容ですが、 今までのPIXAR作品とは色々な意味で一線を画しています。 まず、舞台が退廃して生命の気配さえない地球であること。 人類がすでに見捨ててしまった「使い捨てられた地球」が舞台です。 次に、主要キャラクタが作業用ロボットであり、意味のある言葉を発することが出来ないこと。 この2点が複合し、 恐らく子供ではスト-リーを理解する事が出来ずむしろ退屈と感じるかもしれません。 また大人であっても、 序盤ウォーリーが動き回る「使い捨てられた地球」の場面は、 ディズニー作品に見合わぬ無常感に捕らわれるものではないでしょうか。 ともかく世紀末世界で疑いを知らず働き続けるコミカルなウォーリーの姿は やはり予告の印象を裏切らずキュートで、 だからこそ「手を繋いでダンス」することへの憧れ、裏返せば孤独感の表現が 薄れてしまったように思えます。 ここまで批評的ともとれる内容になってしまいましたが、 それは今までのPIXARと違い大人でも考えせられるストーリーだったからです。 決してガッカリさせられるような映画ではなく、 むしろ大人向けのテーマを子供向けに簡略化した映画であると言えます。 苦言を呈すとすれば、そもそも子供向け映画で扱えるストーリーでなかったということ。 崩壊した文明、進化の極致としての退化、電子故の完璧さと脆さ。 ディズニー映画で何言ってんだと思うかも知れませんがマジです。 登場人物があまり言葉を発さない分、 その動きや細部の作り込みにはやはりPIXARと言わせるものがあります。 思えばCG創世記に無声CGムービーを作っていたクリエイターのセンス、 それがこの作品には取り入れられているような気がします。 スタッフロールでの「恒例のNG集」は今回はありません。 個人的には、 本編では徹底的に子供向きに作り込み エンドロールで大人がクスっと笑える というのがPIXARのバランスの絶妙なところだと思うのですが・・・ 今回は大人向けだと思います。 そして大人として充分に楽しめる作品です。 スポンサーサイト
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過去に何度かブログで書いたこともあるバンドですが、
RENTRER EN SOIが活動終了となります。 これはその発表に伴って告知された、 ネット上でのファン投票とメンバーの選曲によるベストアルバムです。 タイトルのAIN SOPH AIR(アイン・ソフ・オウル)とは ヘブライ語で「無限光」という意味になるようです。(宗教用語でもあり解釈は様々です) アルバムは、 白系と呼ばれた時代中心の「SIDE OF MICHAEL」 路線変更後の音源中心の「SIDE OF SATAN」の2枚で構成されています。 RENTRER EN SOIのベストとしての2枚ですからどちらが上というのは違う気もしますが、 個人的には「SIDE OF MICHAEL」を推します。 過去にブログで「BAISERの真似がディルの真似になっただけ」と書いたりもしましたが、 それは路線変更後メンバー自身が白系時代を否定するような発言をしたからです。 ですが、その後しばらくして本来の音楽性に立ち返るような部分も見えており、 それは男V系ファンにも概ね好評だったようでした。 このアルバムにはその前後のバンドの歴史が詰まっている為、非常に感慨深く聴く事が出来ます。 初期の疾走系メロディアス「波紋伝う眩暈」「INTO THE SKY」「モノクロームシネマ」。 お約束のようなシンコが耳馴染みの良いメロディーを導きます。 徐々に音楽性に厚みを持ちはじめた「wither」「PROTOPLASM」。 アンビエントな打ち込みと徐々に盛り上げ感情的なサビへと繋がる展開が美しい。 方向を変えバンド名表記を変えヘヴィネスを目指した「分裂LE&DD人格」「JUDE」。 シーンへの批判とシーンに甘んじてきた自らへの自虐的ですらある攻撃性。 重厚さを得ながら持ち前の”白さ”を発現した「STIGMATA」「TO INFINITY」。 ここまでバンドが歩んできた「白」と「黒」の表現を感じられます。 収録曲どれもに思い入れがあります。 初音源化となる「空白の情景」も白さ全開で良いですね。 バンドの特徴としては、 Vo.砂月のハイトーンヴォイスが最大の魅力と言っていいでしょう。 歌唱力にはやや難があるものの、その声の美しさと表現力はまさに華です。 楽器隊に関しても同様で、もともと歌メロ中心のバンドだったせいでしょうか、 各々がメリハリを明確に持ち、見せ場ではここぞとばかりにクサい演出で聞かせてくれます。 こうしたバンドの特徴が反面、一部の曲では粗となって顕れます。 つまりヘヴィネス系の曲ですが、 Vo.のシャウトは苦しげでパワーバラードでは息切れさえしてしまいます。 楽器隊、特にギターもゴリゴリと聞かせる曲では弱く、総じて薄っぺらくなってしまいます。 このメロディアスとヘヴィネスのバランスがバンドのバランスとベストになっているのが 「wither」「TO INFINITY」「STIGMATA」あたり。 主に晩年の曲がこれに当てはまりますが、やはりこれが評価も高いです。 ある意味、バンドとしてやり尽くしてしまったのかもしれませんね。 新曲の「STAY GOLD」はまさにファンとの「お別れの歌」です。 ライブで聴いたら泣けるんでしょうね。 と、思い入れも深いだけ随分長く私見で書いてしまいましたが まとめるならば RENTRER EN SOIが好き、または過去に好きだったなら聴くべき! 美メロが好きでVo.の歌唱力より表現力を重視するならなら聴くべき! といった感じでしょうか。 好みは分かれるでしょうが、ぜひ聴いてほしいバンドです。 技術★☆☆☆☆ 個性★★★★☆ 歌詞★★★★☆ 旋律★★★★★ 印象:とにかく”美メロ”に浸りたいなら必聴!特に「wither」!! |
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